日々のこと

「離れ」その2

「離れ」の話のつづきです。
旅館では「離れ」、リゾートホテルだと「ヴィラ」。
ふと、思い出しました。
うかい鳥山
鳥山以外にも、うかい竹亭、とうふ屋うかい、いくつか系列店がありますね。
何カ所か行ったことがありますが、それぞれよい。
なかでもやっぱり「うかい鳥山」が好きです。
川の流れる山の麓に、
移築した合掌造りの建物を始め、大小の木造の「離れ」が展開していきます。
古いよいものを、現代に再現したような場所です。
110929.jpg
*写真 うかい鳥山 webページより
しばらく前ですが、
藤森照信さん(建築家・建築史家)が、
「建築家が選んだ名建築ガイド」(日経BP社刊)の中で、
うかい鳥山を東京の名建築のイチオシに挙げられていました。
「日本的と言われるイメージをこれほど高い純度で実現したところはない」
とのこと。
その以前からとても気に入っていたのですが、
再現している、という部分が、建築的な評価を難しくしていると思っていました。
ディズニーランドをよい建築と思いますか、という話に近いかもしれません。
ただ、
藤森さんのコメントを見て、
あーそうですよね。
と思ったのでした。
気持ちいいんですから。
古いものをただ大切に保存するのではなく、
その空間を生のまま体験できるのが、気持ちよいのですね。
もちろん、食事の質や行き届いたサービスが、
その体験を支えていることは言うまでもありません。
サービスする側からすると、料理を運ぶにも、何にするにも手間がかかります。
庭の手入れや、建物のメンテナンスも、手間がかかっていると思います。
だからこそ、
もてなされる側とすると、何とも贅沢な体験なのですね。
ここは、ある種非日常の世界ではあります。
ただ、日常で使う建築にもその感覚が持ち込まれたら、
暮らしも豊かになるだろうな、と思うのです。
ということで、旅館は「あたみ石亭」、
になるでしょう(笑)。
(S)


お問い合わせ