東嶺町の家

大田区の閑静な住宅街に建つ住宅である。周辺は、小さな敷地も増えてきてこそいるが、基本的にはゆったりとした庭をもつ大きな家が並んでいる。そのため、街をあるいていても、建物の圧迫感は少なく、それが街並の雰囲気をつくりだしている。

若いご夫婦とお子さん2人のための住まいである。奥行きに対して間口が広い、北側に接道する敷地であるため、必要諸室を合理的(経済的)に配置していくと建物は道路に迫り建つようになってしまう。そこで、開口部を外壁面からセットバックさせて、道路からの奥行き感を出すことを考えた。外部空間(テラス)も道路のある北側に設けている。そうして、南側の開口部からは直射のある採光をとり、北側の開口部は引きをとり視線の広がりをつくるのに効かせる、といった構成がまとまった。あとは、さまざまな生活のシーンがゆったりと連続するように、居場所をやわらかくつくった。


周辺環境から建物のあり方を考えることを、当然なことではあるが、大切にしている。とくに、複数の外部との関係を考えることで、日照(採光)・通風・視線の抜け・居場所の創出、さまざまな条件をクリアしようと試みている。そうして、多様性を含んだ豊かな住まいをつくりたいと考えている。


東嶺町の家

用途:個人住宅
所在:大田区東嶺町
竣工:2013年2月
構造:木造
階数:地上2階

敷地面積:82.65m²
建築面積:41.31m²
延床面積:81.58m²
設計:佐久間徹設計事務所
施工:株式会社セレクト

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