多摩川の家

多摩川まで歩いてほど近い距離にある敷地に建つ、若い夫婦2人の暮らす2階建ての住宅である。大きな街道から見えるほどの位置にあり、周辺にはマンションや事業所が建ち、恵まれているとは言い難い環境である。前面である北側には大きな街道と交差する交通量の多い道路、その先にこちらに表を向けた8階建てのマンションがそびえる。西側にはバルコニーが境界近くまで迫る3階建ての社宅。また、南側も裏側ではあるが3階建ての集合住宅が建つ。

ここで、周辺からの視線に対しては閉じながらも、自然を感じ、明るく開放的な暮らしができるような住宅を目指した。

特に条件の悪い北側と西側は「壁」で徹底的に閉じた。その「壁」の内側、北西の角に「光庭」を設ける。一方、南側と東側は大きく開口した上で「テラス」を跳ね出しその先に壁を配置している。この「光庭」と「テラス」の2つの要素を軸にしながら、屋根の勾配や各部の寸法を注意深く検討した。2階は、床のレベルの変化や屋根勾配による天井が南と東への開放感を強調し、窄まっていく北西の角に「光庭」を迎えるような空間である。1階は柔らかい光を活かし落ち着いた居室が配置されている。

開口部の見当たらない閉じた印象の外観と、一転し、内部には明るい光が入り込み気持ちのよい風が流れる開放的な空間。都市部にありながら心安らぐ住宅をつくる、一つの解答として捉えたい。


多摩川の家

用途:個人住宅
所在:調布市多摩川
竣工:2011年8月
構造:木造
階数:地上2階

敷地面積:339.76m²
建築面積:55.45m²
延床面積:98.12m²
設計:佐久間徹設計事務所

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