矢来町の集合住宅

神楽坂駅からほど近く、RC造3階建ての小さな集合住宅である。ほとんどの場合、階数や戸数の関係で、マンションはマンションらしく、戸建ては戸建てらしくなる。が、このくらいのスケールだとよくわからない。斜線や条例の関係で、住戸は全ての階で異なる間取りとなり、必然的に開口部も規則的にはならなかった。構造的にも屋根の在り方としても、木造でも実現できそうなところRC造で計画していることもある。そんなスケール感を愛着のわく住みごごちのよさとして表現したいと考えた。

1階には道路から直接アクセスする長屋形式の住戸、2階3階はオートロックを経てアクセスする住戸を配置している。3階のすべての住戸には屋根の形を利用してロフトスペースがある。水回りは極力コンパクトにして、住戸面積の割に広い居場所を確保するようにした。インテリアは、コンクリートの荒い表情に対して家具や間仕切りは丁寧な造作を対比させている。固いものは柔らかく、柔らかいものは固く取り扱うように教わったことがあるが、その技だ。外装は1階を杉型枠のコンクリート打ち放し、2階3階は白いタイル仕上げとしている。写真を見直すと、やっぱり屋根の形が家みたいなんだろうなと、また思う。


矢来町の集合住宅

用途:集合住宅
所在:新宿区矢来町
竣工:2020年8月
構造:鉄筋コンクリート造
階数:地上3階
敷地面積:68.08㎡
建築面積:52.74㎡
延床面積:138.47㎡

設計:佐久間徹設計事務所
構造:筬島建築構造設計事務所
施工:春日建設
撮影:長谷川健太

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