境一丁目の家

武蔵野市の落ち着いた住宅街に建つ、元気な野球少年3人が育つ住宅である。旗竿状の敷地、というよりT字になった敷地であるため、建物は奥まった状況に建つことになる。単純に南側に庭を、とういうだけでは環境のよくない「奥」ができてしまいそうだった。そこで「南の庭」に加え「中庭」を計画することを考えた。 そもそも、どちらかに絶景(海とか山とか草原とか)が望める場合を除けば、幾つかの方向に視線を抜きたいと考えている。

テーブルに座ったとすると、あっちの席からもこっちの席からも、良い眺めを楽しみたい。庭だったり、空だったり、暖炉だったり、まあ、美しい奥様でもいい(これは冗談)。それほど大きな居場所でなければ、よりそうだ。そしてそれは、光や風を取り込んでくれるからでもある。

今回の計画では、条件のよい南側(南の庭)を活かすのは前提として、建物中央やや北よりに、凹みとしての「中庭」を設けた。シンプルな操作だが、家中に光が回り込み、どこにいても外を感じることができるようになった。二つの庭を設ける、考え方の一つの例である。いつもこの「庭」の話をしているような気がするが、大切だから今回も書いた。


境一丁目の家

用途:個人住宅
所在:武蔵野市境
竣工:2015年4月
構造:木造
階数:地上2階

敷地面積:150.68m²
建築面積:61.75m²
延床面積:114.54m²
設計:佐久間徹設計事務所
施工:匠陽

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