吉祥寺南町の社屋

吉祥寺南町に建つ、木造3階建のオフィスビルである。具体的にいうと我が佐久間徹設計事務所の自社ビルである。少し前に完成した「東久留米の社屋」以来、木造のオフィスで仕事をしたいと漠然と思っていたが、それが実現するなんて。とんとん拍子に、土地から購入して新築してしまうことになった。

建築設計を生業にしていると感じる矛盾がある。長く大切にされる建築をつくりたい、でもそんな建築に縛られて窮屈な思いをしたくない。カッコつけていうと、やっぱり永遠に残るようなモノへの憧れはある。歴史を重ねたものには魅力と力強さが宿っているように思う。そんな建築をつくりたい。でも、明日にでも変えちゃってもいい!というな気持ちの方が楽しい。やっぱり使われている様が生き生きとしていることが重要だ。。。ん?ちょっとまてよ。汗。書き始めてみたもののこれは難しい。グダグダになってしまいそう。またちゃんと考えて書くのでこのくらで軌道修正させてください!

 


さて、気を取りなおす。敷地は、井の頭通りからすぐ南西の角地となる土地だ。日当たり良好、3階からは富士山も臨める。もし井の頭通りに面していたら8階建のビルだって建ってしまう。でも面していないので、ギリギリ3階建。これがちょうどよかった。8階建が建つなら土地は高額になるし、RCのビルを建てたら工事費も数倍になる。駅からの距離もまあまあ微妙で、完全な店舗ビルとしては離れすぎている。戸建ての住宅を建てるにはちょっと騒がしい。もう、設計事務所の用途くらいしか思いつかい。

とはいえ、設計当初は3フロア別のテナントとしても使用できる想定をしていた。事業規模を縮小する際に、フロア単位で切り離すことができればリスクを減らすことができる。階段を区画して、各フロアに設備を用意して、インターホンも3つかな。。。いやだめだ!!!面白くない。なぜ自分たち事業が縮小することを考えているのだ。

そうして、3層が吹き抜けでつながるワンルームのような構成に切り替えた。

1階はカフェのような場所。ミーテォング、昼食、パーティーに対応できる。いずれは地域貢献の場所にしてみたい。2階3階は作業する場所だが、コミュニケーションの取りやすさを重視している。1階に地植えにしたベンジャミンが吹き抜けに伸びていく。外皮を燃えにくくすることでインテリアは木の構造体がそのまま見えている状態とした。基本的に間仕切り壁はない。必要な床、家具、設備、が取り付いているだけ。吹き抜けだって開けたり塞いだりできるように想定している。机や棚は自分たちでDIYした。床も敷いた。ほとんどが使い方を変えたくなったら対応できるつくり。さっそくデスクのレイアウトをかえたり、模型用の棚を追加したりして、つくり替えたりしている。

使い心地は?よい。いろいろと問題も出てくるが実験台だからよい。勉強になっている。やっぱり話が弾む。それから、冒頭の矛盾の話。やっぱり明日にでも変えることできるような状態がよい。楽しい。でもそんな日々を重ねて何十年か経てば、長く大切にされている建築って思える日が来るようにも思える。このプロジェクトはそんなことを目標に考えたものだった。とても歴史的な建築になるとは思えないけど。笑。


吉祥寺南町の社屋

用途:事務所
所在:東京都吉祥寺南町
竣工:2023年1月
構造:木造
階数:地上3階
敷地面積:77.16㎡
建築面積:60.87㎡
延床面積:153.63㎡

設計:佐久間徹設計事務所
施工:匠陽
造園:ユニバーサル園芸社
撮影:石井雅義

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