上原の集合住宅
代々木上原駅からほど近く、井の頭通りの側に建つ集合住宅である。人気のエリアだったこともあり、募集開始すぐに満室になった。嬉しい限りである。
特徴的なのはその外観。普段から、様々な要件をシンプルな形にまとめたいと思って設計することが多い。当然今回もそういう気持ちで取り組んだのだが、とにかく法規が厳しい。前面道路の幅が小さいため道路斜線が厳しく、隣地との高低差があるうえに日影の規制がかかる。天空率の検討と、日影曲線の検討に明け暮れた結果、大きなスペースを確保できる形状がこれであった。もはや、カッコイイの?とかシンプルなの?とか、議論を挟む余地が無かったが、自由に考えてできる形ではなく、新鮮でもあった。
ちなみに、先鋭的な建築の世界では「アルゴリズム建築」などといって、コンピューターのプログラムに諸条件を入力して、検討させ続けた結果を解答とするような手法がある(その筋の方の講演会を聞いたくらいの知識)。そのプロセスに冷たい印象をもっていたが、かなり恣意的に物事を組み立ているのが面白かった。とすれば、怒られそうではあるが、同じようなものではなかろうか?
ともかく、ぶっきらぼうなようで、柔らかな表情になるように、開口部や合わせる色、素材を考えていった。ナチュラルな木が思った以上にしっくりときた。5階建て13戸が入った、柔らかな集合住宅となった。
上原の集合住宅
用途:集合住宅
所在:渋谷区上原
竣工:2016年8月
構造:鉄筋コンクリート造
階数:地上5階
敷地面積:66.16m²
建築面積:50.02m²
延床面積:158.67m²
設計:佐久間徹設計事務所
構造:筬島建築構造設計事務所
施工:春日建設