かすみテラス あいなクリニック
川越市、霞ヶ関南病院のアネックスとして新築された木造平屋建ての建築である。クリニック棟とスタジオ棟からなる「かすみテラス」としてオープンした。
片流れ屋根の平屋を2棟を平行に配置して、中央を中庭と見立てる。その2棟をつなぐようにエントランスホールを設けることで、シンプルに動線を配ることができている。木造の良さを表現するために、大きな屋根の下は木造の梁をそのまま現し仕上げとしている。片流れの屋根が高いところと低いところが程よくバランスしてくれる。開口部は、1間(1820mm)ピッチの構造の柱を現しとし、その間にガラスを挟んでいる。オーソドックスな木造のモデュールによって、全体が構成され大きな空間をつくりだしている。クリニック棟はエントランスホールからレセプション、待合、診察室や処置室の動線をきれいに設定し、その裏側をバックスペースが通っている。スタジオ棟は2つの独立して使ったり、連動して使えるように考えられている。
「老人にも明日がある」「医療は福祉が原点である」「地域なくして医療は成り立たない」という医療法人真正会さんのビジョン。今回の計画は、医療行為の場ではあるが、とにかく気持ちの良さや落ち着いた居場所として話をしてきた。ミーティングの度に前向きな更新がなされてた。そうやって大切に使われる場所ができるのだと思う。「それじゃカッコ悪いよね」「おもしろくないな〜」たまに出る理事長のダメ出しに冷や汗をかいたものだが、良い結果につながってよかった。
かすみテラス あいなクリニック
所在:埼玉県川越市
竣工:2023年9月
構造:木造
階数:地上 1 階
敷地面積:2122.75㎡
延床面積:348.20㎡
構造:筬島建築構造設計事務所
施工:内田産業
撮影:根本健太郎