神保町の集合住宅Ⅱ
神保町駅からほど近くに建つ、1階に店舗、上階に10戸の賃貸住宅で構成される5階建ての集合住宅である。一年ほど先立って完成した「神保町の集合住宅」のシリーズである。立地はよいが、間口が狭い。外観はスラッとしたプロポーションになるが、内部の住戸も間口の狭い住戸になっている。私どもで計画した集合住宅ではもっとも細い住戸となった。
周辺はくすんだ色のビルが多いため、少し鮮やかに、一方で味わいのある外観を考えた。店舗のある1階は吹き付け、2階以上はコンクリートの打ち放し。型枠を杉板とし、目地部分を細工して模様を強くしているのは「Ⅰ」と同じだが、今回はスラッとしたプロポーションを生かし、縦張りとしている。
基準階の住戸は、水回りを最大限コンパクトにまとめ、道路側を居室としている。その細さを和らげるように床や造作には温かみのある木材を使用し、天井を打ち放し、ほかは白くまとめた。最上階だけは、他住戸の3倍の面積として、プレミア感のある住戸となっている。
事業性と居住性がギリギリでせめぎ合う建物であるが、人気はある。必要とされるものが多様化してきているなか、その一つのピースになっていることにまだまだ可能性を感じている。
神保町の集合住宅Ⅱ
所在:千代田区神田神保町
用途:集合住宅・店舗
竣工:2017年6月
構造:鉄筋コンクリート造
階数:地上5階
敷地面積:51.38㎡
建築面積:39.63㎡
延床面積:158.80㎡
設計:佐久間徹設計事務所
構造:むらの構造設計室
施工:春日建設