井の頭の家N
井の頭公園からほど近く、古くからの家と新しい家が入り混じった住宅街に建つ住宅である。大きな敷地を3分割して販売された土地のうち、そのいちばん南にあたる土地を購入し、敷地とされた。
南側に奥の隣地のための通路があり、その先の家も比較的とゆったりと建っているため、南側の条件が良い。また、敷地は、奥の方が膨らんでいるような若干変形した形状となっている。そこで、南側に大きな開口を想定しながら、若干折れ曲がる外壁面となるような配置計画に至っている。限られた間口のなか、その若干のクランクがつくりだす空間と、その先に続く庭(さほど奥行きはないが)が、居場所に大きな広がりを生み出すよう考えた。
さて、家族はご夫婦と子供3人の5名である。設計中、食事の時間についての話があがった。誰がどこに座る??実は、このお題は頻繁に話題に上がる内容で、設計上重要なことである。例えば、我が設計事務所のミーティング用のテーブルは大きな円形で、2人でも、3人から大勢でもうまく座ることができる。それから敵味方を作らずに、仲良く座ることができる。ここで、5名ということと若干のクランクがつくりだす不整形な空間、となるとそれは丸いテーブルの相性が良いでしょう!ということになった。
1階のメインのスペースは、ゆったりとしたワンルームとバックスペースを少し。天井は木造の梁を表している。2階に居室と水廻り。床はほとんどカーペット敷きとしている。外装は、グレーとシルバーでシンプルに統一されている。
あれ、円形のテーブルの話をしておきながら、写真はテーブルが置かれる前に撮られたものだ。今度、撮影させていただいて、ここでも紹介させていただきたいと思う。
井の頭の家N
所在:三鷹市井の頭
用途:個人住宅
竣工:2017年4月
構造:木造
階数:地上2階
敷地面積:120.93㎡
建築面積:48.36㎡
延床面積:96.50㎡
設計:佐久間徹設計事務所
施工:匠陽
撮影:石井雅義