東久留米の社屋

電気設備工事業・空調設備工事業を営業種目とする日栄電機工業さんの社屋ビルである。一般的には鉄骨造で計画するような建築であるが、これからの会社のイメージや地域との親和性を鑑みて、その温かみを活かした木造を採用している。耐火性能を担保するために外装は金属板としているが、内装では木の構造材そのまま表すように表現した。
敷地に対して、道路側に建物を寄せて配置した。エントランスは脇に設け、奥側を駐車スペースとし材料の搬出入は奥から行う。その1階に倉庫、2階が執務スペース、3階は多目的に使用する。倉庫は天井高が必要で、執務スペースは面積が必要。3階には斜線制限の規制がかかってくる。これらをクリアするために、2・3階のボリュームを1階からズラして構成するアイデアに至った。エントランスの雨よけ、搬入スペースに屋根のかかった作業スペースをつくることにも貢献している。


正面外観はガラス張りとした。地域や社会に開かれた場所を表現しているのだが、なによりも見られていることでスタッフへの良い刺激になればと考えられたものだ。みなさんに迷惑になっていませんね?夜になると浮かび上がる、木造のインテリアも美しい。木造のビルの良い事例ができた。

後日、近くに住む知人が教えてくれた。工事中に「近所にカフェかパン屋かアウトドアショップができるよ」とうわさ話をしてくれていたのが、この社屋だったとのこと。地域に開かれた社屋、という意味では大成功である。日栄さん、たまにはコーヒーとパンでも振舞ってくださいませんか?笑。


東久留米の社屋

竣工:2020年10月

構造:木造

階数:地上3階

敷地面積:336.27㎡

建築面積:130.84㎡

延床面積:251.75㎡

設計:佐久間徹設計事務所

構造:筬島建築構造設計事務所

施工:春日建設

撮影:根本健太郎

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