東十条の家

北区東十条に建つ築20年ほどの鉄骨造3階建ての住宅の改修計画である。建坪が7坪程のひょろりとした背の高い建物で、もともと住居だった2階3階をメインの居住の場所とし、倉庫として利用していた1階の3分の1を仕事のための場所とすることが求められた。

2階3階は、空間をはっきりと区切ることをせず、必要な機能と様々なシーンを連続的に同居させていくような計画とした。具体的には、床のレベル差や造作家具の配置によってそれぞれの居場所を意味付けることで、空気や目線はつなげていくという方法である。また、既存の柱型や梁型を利用して造作家具や新規の壁をつくることにし、鉄骨の躯体を感じさせないように配慮した。それは同時に沢山の収納のためのスペースを確保することとなった。


1階には一度外を回ってアプローチする仕事部屋がある。既存の勝手口を利用したものだ。階高が4メートル近くあったので、部分的に新たな床を設け、立体的に空間を利用することにした。縦への広がりが他の居場所とは異なる質の空間を生み出した。

屋上は第4層目の居場所として位置づけをした。高さ2メートルの木のルーバーで取り囲むことによって、眺望や風の通り道を確保しつつ、囲まれた居場所がうまれた。
大きな一つの方針により全体を決めるのではなく、場所ごとに一つ一つ手を入れていくような設計の作業ではあったが、結果としてはその作業によって、限られた面積のなかで家族4人が豊かに暮らすための様々なシーンを盛り込むことのができたのではないかと思っている。


東十条の家

用途:個人住宅
所在:北区東十条
竣工:2007年6月
構造:鉄骨造
階数:地上3階

敷地面積:38.84m²
建築面積:23.17m²
延床面積:69.51m²
設計:佐久間徹設計事務所

その他の仕事